名前にこめた思い

〇「工房」

 

 

・料理ではなく、食料品。

 

 

 今までのクイズイベントは、いわば「シェフの作るスペシャリテ」。

 お店に行かないと食べられない、食べられるのはその瞬間だけ。食べられるのは、厳しい競争を勝ち抜いた一握りの人だけ。

 それだけに希少価値があるし、それだけにより「食べたい」という気持ちを掻き立てられるのも、プレーヤー側の立場として非常によく理解します。

  

 しかし、「ごくごく一部の上流階級だけが楽しめる」「それ以外の人は見ているだけ」ではなく、「多くの人が実際に味わえる」美味しいものも提供されて然るべき。この視点が、今までのクイズ界にはやや欠けていたと考えます。

 「より多くの人が、より気軽に楽しめる」、いわば工業生産の「食料品」を提供したい。

 ラーメンに例えれば、20食限定の単店ラーメン屋ではなくて、ラーメンチェーン店であったり、もっといえば「蒙古タンメン中本やとみ田の冷凍麺(セブンイレブンで全国展開されたもの)」のように「より多くの人が、より気軽に楽しめる」ものを提供したい。

 

・中学生(チューボー)ではなく、高校生(コーボー)。

 

 従来のクイズ界は、「一部の強豪が参加機会・正解数を独占するのが当たり前」であり、「『右肩上がりで成績があがる人』『勝てなくても努力し続ける人』『負けてクイズができなくても、観戦・人間関係(休み時間や懇親会での交流)で楽しめる人』は残るが、多くの人は『クイズができないこと』がだんだん楽しめなくなり、イベントに来なくなる」ことが多くみられました。


 もちろん「競技会」である以上、ある基準に従ってフェアに競技を行い、優劣を決めることを楽しむのが最優先なのは事実です。

 また、「日々努力して、『できなかったことが、できるようになること』を楽しむ」「負けを受け容れ、観戦や友達と交流することを楽しむ」のも、クイズの一つの楽しみ方であり、全く否定するものではありません。

 

 しかし、「クイズイベントで正解できなかった人」「過去できたが、できなくなった人」がクイズイベントから離れていっており、私も含めそれに対して有効な手が打てていないのは、厳粛な事実です。

 その現状から、「より多くの人が、それぞれのスタンスで楽しめるクイズ界」に進化したい、と考えています。

 

 とはいえいきなり大きな進化はできない。今までが「中学生=チューボー」だとしたら、一歩だけ進んで「高校生=コーボー」レベルになりたい。

 

  

☆もちろん他にも「参加機会・正解数の均等化」に配慮したイベント、バラエティ要素を導入したイベントなど幅広いイベントがあります。また、「クイズを辞める人が多い」ということに対し、それぞれの考え・やり方でなんとかしようとしている方もいらっしゃいます。

 

☆繰り返しになりますが、勝ち残り制のNo.1決定戦には「一般」であるだけの大きな魅力があり、今後も発展・継続してほしいと考えていることは補足いたします。

 

☆また「イベントでのクイズ」だけがクイズの形ではなく、サークルやネット、アプリなど幅広い楽しみ方があります。しかし、現実問題、サークルなどに恵まれた方はクイズに残るのですが、そうではない方が「イベントでは楽しめない」「かといってサークルもない」→クイズから離れる、という例が非常に多いと考えられます。

 

 

 

 「工房」という名前をつけたのは、そんな2つの思いからです。

 

〇「クラフト」

・「職人」のように、企画者がこだわった企画。

 

 「より多くの方が楽しめる」企画を目指しますが、といっても「粗製乱造」ということではありません。

 企画者が拘った企画を、複数日程・複数地域で開催することを目指していきます。

 また、各地域の企画者を発掘すべく、「企画コンクール」も実施します。

 

・「クラフトビール」の多様性と、「クラフトボス」のローコスト。

 

 クラフトビールがさまざまな個性で魅了するように、さまざまな傾向のクイズを用意します。

 また、ペットボトルを採用したコーヒーの「クラフトボス」のように、ローコストでの開催を目指します。

 

 

 「クラフト」という名前をつけたのは、そんな2つの思いからです。