正解数の例:サークル

○正解数の均等化の事例(フリーバッティング)

 参加者10名(実力は割と幅広い)でのフリーバッティング(シンプルなルールで行われる早押しクイズ)を想定します。

 

(1) 7○3×2人抜け

 

 声の大きい強豪が「ナナサンやろうぜ~」といって、7○3×をやる。どこのサークルでも見られる風景かと思います。
 2人抜けでやった場合……

 

Aさん 7○ 35問目抜け

Bさん 7○ 40問目抜け

Cさん・Dさん・Eさん 5○

Fさん・Gさん  3○

Hさん 1○3× 20問目失格

Iさん・Jさん 0○

 

 だったとします。この場合、参加機会は「Hさん20問、Aさん35問、それ以外40問」となります。差はありますが、Hさんが早く飛んだのは「自業自得でしょ」、Aさんが触れられる問題数が減ったのは「勝ったからいいでしょ」、それ以外の人は「平等」……ということで問題視されることはありません。だからこそ、どのサークルでもこのような姿が見られるのでしょう。

 

 一方で正解数は、Aさん・Bさんが7問正解したのに比べると、平均は3.3問。Iさん・Jさんは1問も正解できていません(ボタンも押せていません)。

  そして、よほど違う傾向の問題が出ない限り、何セットやっても上記のようなばらつきは数倍になるだけで、大きな違いはないと想定されます。Iさん・Jさんは1日ずっと0○のままかもしれません。

 また、勝てなかった人からすると、最後までずっと「10人~よくても8人前後の中で解答権を争わなければならない」ことになり、ボタンをつけるだけでも一苦労です。

 

 昔から「努力して自分は強くなった」という昔話をするにあたって、「初めて○○に参加したときには、半日で1問もボタンがつかなかった(けどその後頑張ったから今の自分がある、だからお前も今は押せないだろうけど頑張れ)」というような話をするベテランが散見されます。その努力は称えられるべきだし、最初はボタンがつかなくても努力でカバーすべきだ、というのも一つの考え方かもしれません

 

 しかし、サークル運営・人材育成の視点から考えたときに、上記のようなやり方だけが絶対なのでしょうか?

 「ほとんど正解できないからクイズがつまらない→辞めた」という方も、大量にいるのではないでしょうか?

 上記のベテランの「努力エピソード」は、いわば「生存者バイアス」ではないでしょうか?

 


 

(2) 3○2×6人抜け

 

 ここで「正解数の均等化」を強く意識する出題者が、「いや3○2×6人抜けにしよう」と主張したとします。

 

Aさん~Fさん 3○~3○1× 順に4問目・9問目・17問目・23問目・35問目・36問目抜け

Gさん 2○1×

Hさん・Iさん 1○ 

Jさん 0○

 

 参加機会は4~36問と大きくばらつく。超強豪であるAさんは4問しかクイズができず、「俺が全然クイズできないじゃないかよー」と不満が出るかもしれません(大半の人は「早く勝ち抜けた自分」に満足してくれるとは思います。それでも不満でしたら問題集を読んでいてもらうのがいいかと思います)。

 ただし正解数は平均2.2問。完全に「均等」ではありませんが、均等に近づいています。より多くの人が正解し満足することができる、という点では利点があります。

 

 また、「超強豪であるAさんたちは早めに勝ち抜け」かつ「早押し機につく人数自体少なくなる」ため、初心者の方(Hさん・Iさん)にとってもボタンをつけやすくなるのも大きなメリットです。
 もちろん万能ではなく、「それでも1問もつかない方」(Jさん)はいて、それには別のフォロー方法が必要です(異なる傾向の問題を出す、早押し以外の形式を用意する、別途トレーニング方法を提案する、解答できないにしても反応したことを褒める、など)。

 

 「やっぱり競技をやりたい、大会に出るような形式を試したい」「参加者間でフェアであれば、正解数に差がつくのはやむを得ない」「正解できない、正解できずにクイズを辞めるのも、各プレーヤーの自己責任」という考え方ももちろん一理あります(こちらの方が一般的だとも思います)。しかし、「サークルの全員がクイズを楽しむ」理想を実現するには、「正解数を均等に近づけるのは無理にしても、せめて1問でも正解して頂く試み」が検討されてもいいかと思います。

 

 

 また、「競技志向が強い」人にとっては、たとえば「○抜け以内に必ず入る」「自分だけは1×失格にする」などの設定をすることで、イベント当日への調整にもなります(私は地方サークルで同様のフリバを行うとき、そのようなメンタルセットで行っています)。

 

 

☆なお「多人数抜け」の場合、飛びが出るとなかなか終わらない、という可能性があります。場が荒れそうなときは、「抜け人数+飛び人数が〇人」というのも一つの手かと思います。